顧客の”愛着度”を可視化する「NPS」とは?活用方法も解説!

  • 2019.09.04
  • 更新日:2020.04.13
  • NPS
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顧客の”愛着度”を可視化する「NPS」とは?活用方法も解説!

顧客の”愛着度”を可視化する「NPS」とは?活用方法も解説!

顧客の”愛着度”を可視化する「NPS」とは?活用方法も解説!

ウェブサービスを使っている時に「あなたはこのサービスを他の人に勧めたいと思いますか?」という質問に0〜10点で回答する評価のアンケートへの回答を求められたら、それはサービスを提供する企業が自社サービスの”NPS”を計測するために設置したアンケートの可能性が高いでしょう。

NPSとは、サービスが「ユーザーからどれくらい愛着を持たれているか」「信頼されているか」を示す数字の指標のことを指します。

NPSは顧客満足度に変わる新しい指標として、近年日本で注目され始めており、サービスの利益や業績と強い相関性があることが確認されています。

自社サービスを評価・改善する際に信頼の置けるデータとして役立てることができる有益な指標です。

この記事ではNPSの意味や算出方法、NPSを導入する意義、効果的な活用方法など、基本的な情報を網羅的にお伝えします。

NPSを測定するためのツールも巻末でご紹介しますので、導入を検討しているサービス担当の方はぜひお役立てください。

 

NPSとは?

NPSはNet Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)の略語であり、ユーザーのサービスへの愛着や継続利用の意向、信頼の度合いである「顧客ロイヤリティ」を表す数値指標です。

日本ではここ最近、「顧客満足度」に代わるより具体的な指標として注目されつつあります。

NPSは2003年に、アメリカの大手コンサルティング会社であるベイン・アンド・カンパニー社フレドリック・F・ライクヘルド氏が提唱した考え方です。

その後多数の大手企業の導入実績から、「NPSの値が高いと、その事業やサービス、製品の成長率も高くなる」ことがわかり、アメリカで広がりを見せました。

今では、フォーチュン500(欧米の売上上位企業)に選出された企業のうち、30%以上がNPSを活用していると言われています。

日本では「顧客満足度」の方が未だに一般的で、NPSの考え方はあまり浸透していませんが、日本最大のフードフェスティバルである「肉フェス」がNPSを使ったスポンサー誘致活動を行なったりと、活用する企業は徐々に増えつつあります。

他にもリクルートや楽天、サイバーエージェントなどの大手企業でも導入実績があり、今後日本でも急速に普及するかもしれません。

 

NPSの意義とは

NPSはそもそも、「収益性と連動するロイヤリティを計測するための指標を探す」というゴールから逆算して生み出され、今まで測定することが難しかった、「ユーザーのサービス(企業)へのロイヤリティ」を数値化することに成功しました。

 

顧客満足度との違いは?

NPSと顧客満足度の大きな違いは「収益・業績との相関性」の有無です。

NPSは収益性や業績に連動すると考えられており、欧米での導入実績がそれを証明しています。

 

顧客満足度とは、企業が提供する商品やサービスの質が、顧客が期待する水準を満たしているかどうかの満足感を示す概念のことです。

顧客満足度を計測する調査では、「(サービス・企業などの対象について)満足していますか?」という質問をユーザーに投げかけ、ユーザーは”今”どう感じているかを回答します。

「満足しているかどうか」という抽象度の高い質問に対し、ユーザーはその時点での主観で回答します。

そのため、たとえ回答時点でポジティブな回答をしたユーザーでも、将来的にポジティブな行動を取るかどうかとの相関はあまりないと考えられています。

 

一方、NPSを計測するための調査では、「このサービスを他者(友人・家族・同僚など)に勧めたいですか?」といった、具体的な未来の行動についての質問をユーザーに投げかけます。

このように、NPSは「他者に勧めるかどうか」という未来の具体的な行動を数値化するため、将来的な事業成長との相関があり、連動すると言われています。

 

NPSの向上は企業の売上向上につながる

このようにNPSの数値と業績には相関関係があることがわかっており、NPSの値がアップすると企業・サービスの売り上げも上がる傾向にあるといえます。

先述の通り、これまで多くの日本が行ってきた顧客満足度調査では、良い結果が得られてもその後の「リピート」や「購入金額の増加」といった行動との相関はあまり見られないことが明らかになっています。

さらに、顧客満足度調査で「満足」と回答したカスタマーがその後解約するケースも多いという調査結果も報告されています。

これらのことから、「満足=ロイヤリティの高さ」ではなく、顧客満足度を売上アップに繋がる指標とは言い切れないことがわかります。

 

一方で、NPSの数値がアップすることは、「推奨者が増加し、批判者が減った」ことを意味し、「リピート」「継続購入」「高頻度の購入」「ポジティブな口コミの拡散」といったユーザーのポジティブな行動の増加につながります。

それに加えて、推奨者のLTVは批判者の2倍以上であるという調査結果も存在します。

つまり、「NPSの数値が上がる=推奨者の割合が増えている=LTVの改善につながる」という図式が成立するのです。

 

NPSの計算方法

NPSはとてもシンプルな方法で計測できる指標です。

「あなたはこのサービス(もしくは企業、ブランド、製品など)を他者(友人、同僚、家族)に勧めたいですか?」という問いに対して、0〜10の11段階評価で回答してもらいます。

回答者は、回答した点数に応じて以下のように分類されます。

・9〜10点をつけた回答者・・・推奨者
・7〜8点をつけた回答者・・・中立者
・0〜6点をつけた回答者・・・批判者

「推奨者」はサービスに満足していて、周りにサービスを勧めたり、良い口コミを拡散してくれるユーザーと定義します。「中立者」はサービスに満足感も不満もなく、周囲に対して勧めることも悪くいうこともないユーザー。「批判者」はサービスに対して不満を持ち、悪い口コミを拡散して、サービスにネガティブな影響を与える可能性のあるユーザーです。

 

NPSの値は、

NPS=(推奨者の割合)ー(批判者の割合)

という計算式で算出します。

例えば推奨者が全体の30%で批判者が50%の場合、「30-50=-20」でNPSは「-20」となります。

なお、統計学的に正確な値を算出するためには、最低400、できれば2000以上のフィードバック数を取得することが望ましいとされています。

 

NPSをどう活用すればいいのか?

では計測した値は、実際にどのようにサービス改善に活用するのが良いのでしょうか。

NPSを業績の成長に活かすために、計測後の活用方法についてしっかり理解しておきましょう。

 

ポジティブ・ネガティブともに影響因子をあぶり出す

NPSを計測するアンケートに、11段階の評価に加えてフリーコメント欄を設けると、より有効活用しやすい結果を取得することができます。

NPS計測の際にはぜひ、「評価の理由を教えてください」という設問と共に、フリーコメント欄を設けましょう。

フリーコメントが集まったら、コメント内容をすべて洗い出してカウントしたうえで、ネガティブな内容とポジティブな内容に分類します。

分類できたら、それらのコメントと共に付けられた点数と突合し、コメントの内容と点数の相関要素を割り出しましょう。

どのようなコメントにどれくらいのスコアがつくのか、という観点で分析することで、NPSスコアをあげている(もしくは下げている)具体的な要因を探し出すことができます

スコアを下げている影響因子を割り出せたら、その結果から改善のための具体的な打ち手を決定し、相関関係の強いものを優先順位高く実行するのが効率的です。

 

定期的な定量分析でウォッチングする

NPSの計測は一度だけスポット的な施策として行うのではなく、例えばサービスや製品、ブランドに変更を加えたタイミングなどで定期的に実施することで、変更に対するユーザーの反応を定量的に把握できるツールとなり得ます。

目立った変更を加えていない場合でも、トレンドなどの外的要因で相対的にNPSの値が上下することはあり得ます。

NPSは定期的に行い、事業成長に関わる要因を把握する材料として有効活用するのがポイントです。

 

NPSを調査するためのツール例

最後に、NPS計測に役立つツールをご紹介します。

NPSアンケート用のフォーマットを備えているアンケート作成ツールや、回答結果を自動で分析・レポーティングしてくれるマーケティングツールなど、導入に役立つサービスが揃っています。

自社のニーズに応じて、適当なツールを取り入れてみましょう。

 

SurveyMonkey

SurveyMonkey(サーベイモンキー)は、アンケートを無料で作成できるツールです。

日本では2011年にサービス提供が始まり、まだあまり普及していませんが、海外では有名なアンケート作成サービスです。

豊富なテンプレートを用いて、簡単に本格的なアンケートを作成することができます。

カスタマーサポートが手厚いのもSurveyMonkeyの大きな特徴の一つで、アンケート作成についてのアドバイスも無料で受けられます。

また、集計結果を自動でグラフ化する機能も備えており、結果の分析がしやすい点もポイントです。

NPS計測のためのテンプレートや導入を支援するページが用意されているため、まずは初期費用をかけずに無料で始めてみる、という試みが可能です。

 

Ambassador Relations Tool

Ambassador Relations Tool(アンバサダーリレーションズツール)は、顧客満足度や顧客ロイヤリティ向上のための総合的なツールです。

顧客管理、メール配信、フォーム作成、MA(マーケティングオートメーション)、レビュー作成、分析、レポーティングなど多数の機能を備えており、顧客にまつわる業務をこのツールに一元化することが可能です。

NPS計測を行う場合は、アンバサダーメールというNPS計測専用のメール配信機能を使います。

顧客にアンケートを定期的に送信し、ユーザーのサービスへのフィードバックを定量的に測定することができます。

 

Delighted

Slack社が自社のNPSマーケティングに利用していることで有名な計測ツールがDelightedです。

NPSの計測メールやWeb上のアンケートを簡単に作成・カスタマイズできます。

250人分の回答獲得までは無料で利用できるため、初期費用なしに精度が高いNPS計測を行うことができます。

アンケートの見た目を、プログラミングなしで変えられるのも特徴の一つ。

また、自動で顧客への重複調査を避ける機能も助かります。

サービスは英語がメインですが、アンケートの文面は日本語に翻訳して送信することができるので、安心して利用してみてください。

 

EmotionTech

EmotionTech(エモーションテック)は、株式会社Emotion Techという日本の企業が運営するNPSのサービスです。

直感的で使いやすい管理画面が特徴で、Web上で集めた評価データをAIや統計解析を用いて分析し、その結果を管理画面上でリアルタイムで確認することができます。

またWeb上の分析だけでなく、定期的なレポーティングや分析結果をもとにした品質改善策の提案なども、基本プランに含まれています。

日本国内に多くの導入実績を持っており、多数の外部データを用いた分析やコンサルティングを提供することも可能です。

 

まとめ

NPSを計測する意義や値の算出方法、活用例やツールまで、NPSについて網羅的にご説明しました。

日本では近年、SNSマーケティングのような「共感性」や「関係性」が重視されるマーケティング手法が急速に広がりつつあります。

Googleによる変則的なアップデートが定期的に実施されるようになったことから、これまでSEOマーケティングに力を入れていたプレイヤーがSNSマーケティングに鞍替えする、もしくは併用し始めるというケースが頻繁に見られるようになってきました。

このような潮流の中、事業やサービスの提供者にとって「顧客がどれだけ自分のサービスや製品に愛着をもっているか」を把握したいというニーズは高まっていくでしょう。

また逆に、どうすればユーザーに共感され、愛着を持ってもらえるのかという知見を溜めている事業者は、今後のマーケティング活動において有利になってくると言えるのではないでしょうか。

まだNPSを取り入れていない場合は、早めに導入してPDCAを回し、ユーザーデータを蓄積していくことで、今後のマーケティング市場で有利なポジションを獲得しやすくなるかもしれません。

これを機に、NPSを導入してユーザーとの距離を把握してみてはいかがでしょうか。

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