SaaSビジネスで重要視される「オンボーディング」とは?行うべき理由

SaaSビジネスで重要視される「オンボーディング」とは?行うべき理由

SaaSビジネスで重要視される「オンボーディング」とは?行うべき理由

SaaSビジネスで重要視される「オンボーディング」とは?行うべき理由

SaaSのアプリやサービスで事業をグロースさせたい企業にとって、「ユーザーにサービスを使い続けてもらうこと」は何よりも大切なことです。

特にサブスクリプションモデルのサービスの場合、継続利用を前提としたビジネスプランが組まれています。

有料のプランに申し込んでもらうだけではなく、その後も継続して使い続けてもらわなければ、事業の利益は生まれないのです。

しかし、ユーザーに早い段階でサービスの良さを理解させ、使いこなしてもらうことは簡単ではありません。

これはSaaSのサービスを提供する企業が通れない難題の1つと言えるでしょう。

その難題を解決してくれるのが、「オンボーディング」の取り組みです。

この記事では、SaaSサービスにおける「オンボーディング」とは何を意味するのか、なぜオンボーディングを行うべきなのかについて、具体的な手法の説明と共に解説します。

 

オンボーディングとは?

オンボーディング(on-boarding)

オンボーディング(on-boarding)は、英語で「船・飛行機に乗っている状態」を表す「on board」から派生して出来たビジネス用語です。

もともとは本来の意味通り、船や飛行機に新しく乗り込んで来た人々に対するレクチャーを指す言葉でした。ビジネスでは、人材領域やSaaS領域で用いられることが多く、どちらの領域で使われるかによって意味合いが異なってきます。

 

新入社員への「オンボーディング」

人材領域において「オンボーディング」は、「新しく採用した人が部署にいち早く慣れ、即戦力として活躍できるように育てる」プロセスを指します。

「新人研修」と言い換えることも出来ますが、これまで一般的だった新人研修とは大きく異なるアプローチであることを理解しておいた方が良いでしょう。

従来の「新人研修」は、新卒で採用した新入社員たちに対して行われる、短期集中の入社オリエンテーションとして行われるのが一般的でした。

それに対して「オンボーディング」の対象者は新人だけでなく、中途採用した中堅社員や幹部候補、エグゼプティブも含まれます。

また、新人が加わった直後の限られた期間だけで終わるのではなく、継続的に続いていく点も、既存の新人研修とは異なるポイントです。

それに加えて、「既存メンバーが新人に研修を行う」という一方的に教えるようなスタイルではなく、新人を受け入れる既存メンバー側も心構えを持ち、共に新しい環境を創り上げていく意識を持つことも、オンボーディングのプロセスには必要です。

 

「ユーザーオンボーディング」

SaaS領域において「オンボーディング」は、「自社のサービスについて、顧客(ユーザー)にティーチングする」プロセスを指します。

「ユーザーがなるべく早くサービスについて理解し、操作に慣れて使いこなせるように導くためのプロセス」とも言えるでしょう。

SaaS領域のサービスを事業として成功させるためには、この「オンボーディング」が欠かせません。

 

なぜオンボーディングが重要視されるのか?

ではなぜ、SaaSの事業において「オンボーディング」は重要視されるのでしょうか。

 

SaaSはLTVの最大化が重要課題

LTVはLife Time Value(ライフ・タイム・バリュー)を略したマーケティング用語です。

「顧客生涯価値」と訳され、一顧客が生涯を通して企業にもたらす価値(利益)を意味します。

SaaSのサービスの料金体系は、月額料金を毎月支払うサブスクリプション方式が一般的です。

そのため、LTVの数値をあげるためにはサービスを「売って終わり」ではなく、顧客になるべく長く使い続けてもらい、料金を継続して払い続けてもらう必要があります。

顧客に長く使い続けてもらうことがLTVの最大化につながるため、、SaaSのサービスを提供する企業にとって、顧客の満足度やロイヤリティをあげるための施策が最重要課題となるのです。

サービスを使いこなし、長期に渡って使い続けてもらうために、オンボーディングでサービスの良さや機能、使い方を伝えるプロセスが必要になります。

 

使い続けてもらいチャーン(解約)を回避

LTVの最大化を阻む一番の障壁が、チャーン(解約)です。

チャーンレート(解約率)は、全ユーザーのうち、途中解約したユーザーの割合を示す数値です。

顧客数で計算する方法(カスタマーチャーンレート)と、収益で計算する方法(レベニューちゃーんレート)の2種類が存在します。

どちらにせよ、サービスのチャーンレートはLTVの数値に直接関係してくる指標であり、その事業が継続的に成長できるかに大きく関わってきます。

チャーン数を減らすためには、LTVの最大化対策と同様に顧客の満足度を上げ、継続させなければなりません。

そのための施策として、カスタマーサポートや契約更新の際の営業などと並び、オンボーディングが重要視されています。

 

顧客単価の引き上げに繋げる

継続してサービスを利用してもらえるようになったら、その顧客に対してアップセルやクロスセルを行い、顧客単価の引き上げを試みます。

アップセルはより高額なプランやモデルの購入を促す営業手法、クロスセルは関連商品の購入を促す営業手法です。

オンボーディングによって顧客満足度や信頼度が向上すると、サービスを継続して利用してもらえることはもちろん、顧客単価を上げるためのアップセル・クロスセルのチャンスも高まります。

顧客単価の引き上げは、SaaSサービスの重要な指標であるLTVの最大化に寄与する重要なアクションです。

 

オンボーディングの方法

オンボーディングは、企業にもたらす利益のポテンシャルに応じて

・テックタッチ
・ロータッチ
・ハイタッチ

の3つのアプローチ方法に分類されます。

 

ハイタッチでのオンボーディング

個別のユーザーサポートをハイタッチと呼び、大きな利益をもたらすと見込まれる「大口顧客」に対して行われます。

ハイタッチユーザーには、多くの場合専任の営業担当が付き、コストをかけて手厚いサポートを行います。

・訪問による導入支援や勉強会を行う
・定例会を開催し定期的にフォローを行う

等の手厚い支援でカスタマーサポートを引き出し、大口顧客のLTV最大化を図ります。

 

テックタッチでのオンボーディング

システムやITテクノロジーを駆使して、コストや営業リソースをかけずに行う顧客対応がテックタッチです。

テックタッチユーザーと呼ばれる、一顧客あたりがもたらす利益は少ないものの、母数が大きくロングテールで事業利益に貢献するユーザー層に対して用いられる手法です。

一度に多数のユーザーへアプローチ出来る手法であり、後述するロータッチユーザーやハイタッチユーザーへのオンボーディングも兼ねることができます。

・サービス内にチュートリアルやリファレンスを用意する
・サービスの概要を伝える動画を提供する
・メールやプッシュ機能でユーザーに通知する
・ウェビナーを開催する

といった方法が一般的です。

 

ロータッチでのオンボーディング

ハイタッチユーザーとテックタッチユーザーの中間にあたるユーザーをロータッチユーザーといいます。

ロータッチユーザー層に対する顧客サポートをロータッチと呼び、テックタッチと個別対応を組み合わせたサポートを行います。

ハイタッチほどのコストや人的リソースは割かず、必要に応じて個別対応を行うことが一般的です。

 

どの手法でアプローチすべきか?

オンボーディングではこのように、企業にもたらす利益やLTVのポテンシャルで顧客を「ハイタッチユーザー」「ロータッチユーザー」「テックタッチユーザー」に分類し、それぞれの顧客層ごとにオンボーディングにかけるコストやパワー配分を行うことが一般的です。

ただし、「ハイタッチユーザーには必ずハイタッチの手法でアプローチしなければならない」というわけではありません。

この分類はあくまで、サービスを提供する側の利益ポテンシャルで分類されたものであり、他のタッチ手法が有効なケースもありえます。

特に、テックタッチの手法は多数に向けて分かりやすいように一般化され、練り上げられたものが多いため、テックタッチユーザーだけでなくロータッチユーザーやハイタッチユーザーにとっても有益なサポートとなり得ます。

大切なのは手法の使い分けではなく、「オンボーディングによってユーザーのカスタマーサクセスを引き出し、LTVを最大化する」ことです。

ケースに応じてタッチ手法をうまく組み合わせて使うようにしましょう。

 

よりよいオンボーディングのために

顧客とともに、目標やスケジュールを明確化

SaaSサービスを継続的に使い続けてもらうためには、カスタマーサクセスの提供や使い方の基本的なフォローだけでなく、「このサービスを使い続けることで、将来どんなメリットが生まれるか」「このサービスを使って何を得るのか」について前向きなイメージを持ってもらうことも大切です。

ビジョンのない受け身な姿勢で、漠然とサービスを使っている、という状況では、将来的にユーザーが目的を見失い、チャーンに繋がりかねません。

「サービスを使って何を、いつまでに成し遂げたいか?」「成し遂げるために、どのようなプロセスを踏めばいいか」という「目標」「スケジュール」「アクションプラン」をユーザー自身が明確にすることをサポートすることで、サービスを使い続けた先の明るい未来をイメージしてもらうことができます。

 

オンボーディング自体の効率化も考える

質の高いオンボーディングを多くのユーザーに提供するために、オンボーディング自体の効率化も考えた方が良いでしょう。

オンボーディングを効率化することで生まれたリソースを、大口顧客へのフォローをより手厚くしたり、より良いオンボーディングプランを生み出すことが出来ます。

効率化に一番貢献するのが、テックタッチの推進です。「いかにオンボーディングの質を保ちながら人的リソースを減らし、テックタッチに移行するか」を考えて、テックタッチのアプローチを充実させましょう。

また、オンボーディングのノウハウが蓄積されてきたら、オンボーディングプロセスのパッケージ化・マニュアル化することも、オンボーディングの効率化に効果的です。

 

定期的なフォローアップ

企業にとってオンボーディングの最終的な目標は、「チャーンの回避」「LTVの最大化」です。

オンボーディングのプロセスが成功し、ユーザーの継続利用が軌道に乗った後も、チャーン回避やLTV最大化のために定期的なフォローアップが必要です。

ハイタッチユーザーには、引き続き担当を付けて1対1の手厚いフォローを行います。

担当者が企業を定期的に訪問し、フェーズに応じた課題解決を提供するのが望ましいです。

ロータッチユーザーについても同様、担当者によるフォローとテックタッチ手法でのフォローをうまく組み合わせたフォローアップを行いましょう。

テックタッチユーザーに手厚いフォローを提供することは難しいですが、既存のテックタッチユーザー用のフォローコンテンツを作成して提供する等の取り組みが効果的です。

 

まとめ

SaaSビジネスで利益を出し続けるためには、最悪の事態であるチャーンを回避し、クロスセルやアップセルを成功させて顧客単価を上げ、LTVの最大化を図り続けなければなりません。

特にチャーンは、ビジネスの成長率との相関があることがわかっており、チャーンレートの高いビジネスは高い確率で成長が止まってしまいます。

チャーンはSaaSビジネスを提供する企業にとって、最大の脅威であると言えるでしょう。

チャーンを防止してサービスを成長させ続けるために、オンボーディングは欠かせない取り組みです。

SaaSにおける「ユーザーオンボーディング」は、サービスを初めて利用するユーザーのキャッチアップを手伝うだけではなく、ユーザーが抱える課題解決を手助けし、継続したフォローを行うプロセスそのものを指します。

充実した質の高いオンボーディングは、ユーザーにカスタマーサクセスを、サービス提供側である企業には利益とサービスの成長をもたらします。

顧客を「ハイタッチ」「ロータッチ」「テックタッチ」に適切に分類し、それぞれのニーズに合った適切なオンボーディングを提供する事も、オンボーディングの成功に不可欠な要素です。

サービスをグロースさせるために、より良いオンボーディングを追求し、成功体験を積みましょう。

 

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