近年、採用業務においてなくてはならない存在となりつつある「採用管理システム(ATS)」。
これから検討するという方もいらっしゃるかと思います。
今回は、実際に「採用管理システム(ATS)」を使うことによるメリットや、主要サービスをご紹介します。
今後の日本における採用の変化
現在、少子高齢化や人材不足により、採用競争が激化しています。
この競争に勝ち抜くためには、意思決定のスピードを上げていく必要があります。
そのためには、PDCAを意識した採用業務、担当者と社内で採用に関わってくれる現場社員との連携、チームでの正確でスピーディーな情報共有などが必要となってきます。
まさにその点で、今回ご紹介する「採用管理システム(ATS)」が大活躍するのです。
採用競争時代に必須!「採用管理システム(ATS)」とは?
採用における競争が激化している中、是非おすすめしたいのが「採用管理システム(ATS)」です。
「ATS」とは、「Applicant Tracking System」の略です。
直訳すると、「応募者を追跡するシステム」という意味になります。
これまでは応募者が応募から採用の可否に至るまでのプロセスを、Excelやスプレッドシートなど企業独自の方法で管理していましたが、「採用管理システム(ATS)」を使用することで、システム上で一元管理できるようになるのです。
「採用管理システム(ATS)」で何ができるのか?
それでは、「採用管理システム(ATS)」では具体的にどんなことができるのでしょうか。
「採用管理システム(ATS)」の種類によっても変わりますが、大きく分けると下記の4つの業務をシステム上で管理することができるようになります。
・求人案件の管理
複数の求人案件を簡単に作成・掲載することができます。
・応募者情報の管理
応募してきた人の履歴書や職務経歴書などの情報を管理できます。
・選考の状況や面接の管理
応募してきた人が今どの選考ステータスにいるかを確認したり、面接のスケジュールや面接時の評価を管理できます。
・内定者の管理
内定に至った応募者への連絡やフォロー状況についてを管理できます。
このように、「採用管理システム(ATS)」は応募から内定にいたるまでの業務をしっかりとフォローしてくれるのです。
また、こういった情報を部署やチーム内で簡単に共有することができるため、業務の生産性の向上にも繋がります。
採用業務のうち、何を効率化できるか?
普段の採用業務のうち、実際には何を効率化することができるのか、詳しくみてみましょう。通常下記のようなフローで業務が発生します。
・採用計画の作成
年度、または四半期ごとなどで採用計画や予算を決めます。
計画をもとに、いつまでにどんな人を何人採用したいかなど、詳細を詰めていきます。
・母集団の形成/求人の掲載
計画が決まったら、求人案件を作成します。
自社のホームページにアップしたり、求人広告をだしたり、エージェントに告知したりします。
・応募者の管理
応募や様々な窓口から集まってきます。
履歴書や職務経歴書の管理はもちろん、どの経路から応募があったかなども把握しなければなりません。
・面接
応募者と社内の面接官の面接日程を調整し、双方への連絡もしていきます。
多数の応募者を同時進行で調整し、且つ応募者によって面接官や面接のステータスが異なるので慎重におこなう必要があります。
・内定とフォロー
無事内定がでた応募者には、通知とともに自社に入社してもらうためのフォローをおこないます。
必要があれば社員に魅力づけをおこなってもらう場合もあります。
・入社手続き
入社が確定したら、入社時に必要な書類の準備や連絡などをおこないます。
上記のフローの中で、「採用管理システム(ATS)」で効率化できる箇所は以下となります。
採用業務 | 採用管理システム(ATS)で効率化できるか? |
採用計画の作成 | ✕ |
母集団の形成/求人の掲載 | ◯ |
応募者の管理 | ◯ |
面接(日程調整など) | ◯ |
内定者向けのフォロー | ◯ |
入社手続き | ✕ *採用管理システムの範囲外ですが、人事・労務関連のツールで実現できる可能性も |
このように、「採用管理システム(ATS)」によって半分以上の業務は効率化が可能です。
効率化によって採用業務はどう変わる?
「採用管理システム(ATS)」で採用に関わる業務を効率化できれば、業務負荷を軽減させ、より業務をスムーズにおこなうことができます。
例えば、応募者の情報管理にはとても手間がかかります。
応募者の個人情報、応募時の経由元、現在の選考フロー進行状況、どの面接官が面接をして評価はどうだったか……などといった情報を全て紐づけていくのは手動だととても大変です。
この作業を「採用管理システム(ATS)」を使って効率化を進めることで、人の手が必ず必要となる、採用計画や内定者のフォローなどの業務に時間を割くことができるのです。
重要業務への注力が、採用競争でのリードに繋がる
採用業務は業務量がとても多いですよね。
よほどの大手企業でない限り、採用の担当者は必要最低限の人数しか居ないことが多いので、目の前の事務作業や調整業務に追われてしまうケースが多いです。
しかし、例えば定期的に今の採用状況を振り返りPDCAを回したり、協力してくれる社員とコミュニケーションをとったり、内定者のフォローを丁寧にしたりと、採用担当者はシステムではまかないきれない重要な業務にこそ注力する必要があります。
ここができれば、採用競争の時代であっても他社から一歩リードすることができるのです。
徹底的に業務を効率化するために、誰にでもできる作業はシステムに任せてしまいましょう。
採用管理に特化したシステムの強み
「採用管理システム(ATS)」は、名前の通り採用業務に特化したデータ管理システムです。どのような強みを持っているか、一部紹介していきましょう。
必要なデータベースがすべて揃っている
「採用管理システム(ATS)」は、採用業務に必要なデータベースがすべて揃っていることが大きなメリットです。
求人情報を一元管理したり、応募者の情報を管理・蓄積したりと、あらゆるデータを最適な形で活用できるようになっています。
そのため、担当者がシステムに詳しくなくても、簡単に普段の業務で活用することができるのです。
社内での共有しやすさとセキュリティ対策
採用業務は、部署もしくはチームで動いているケースが多いかと思います。
複数のメンバーが同時進行で採用活動を進めている場合、常にリアルタイムで情報共有をしなければならないため、頻繁な声がけや共有ミーティングが必要となります。
「採用管理システム(ATS)」は、情報共有が必要なメンバーがシステムに入れるアカウントを持っていれば、最新の情報を同時に確認することができます。
ミーティングなどでも、全員でシステムにログインして画面を共有することで、効率的に進捗確認をすることができるのです。
また、採用業務では応募者の個人情報を扱うため、情報の管理には細心の注意を払わなくてはなりません。
「採用管理システム(ATS)」を利用すれば、情報閲覧者を制限できることなど様々なセキュリティ対策が可能です。
情報を一元管理でき、入力漏れも起きにくい
求人案件を公開したあと、自社ホームページやエージェント、採用媒体など、様々な場所から応募がくることになります。
エージェントや採用媒体も、複数使っているケースが多いです。
こういった窓口が多いと応募が増えるのは良いですが、担当者の管理もその分大変になります。
そこで「採用管理システム(ATS)」を使うことで、複数の窓口からの応募を1箇所にまとめて、一元管理することができるのです。
システム化をすることで、応募者への連絡漏れや、入力漏れなどの人為的なミスも起きにくくなります。
採用管理システムを入れないことはリスクになりうる
これまでご紹介したように、「採用管理システム(ATS)」の導入により、すぐに実際の採用業務に活用することができ、セキュリティ対策も万全のため、安心して使うことができます。
今までExcelやスプレッドシートなどで随時手入力していた情報を簡単かつ安全に管理・共有することができるため、むしろ採用管理システムを入れないほうが、リスクは大きいと言えます。
採用管理ツールは何を導入すればいい?
ここまでで「採用管理システム(ATS)」のメリットはご理解いただけたのではないでしょうか。
では、実際に自社の業務で「採用管理システム(ATS)」の導入を検討する場合、どのシステムを導入すれば良いのでしょうか。
実は「採用管理システム(ATS)」には様々なタイプがあります。
当メディア独自の分け方ですが、新卒採用も中途採用にも活用できる「オールマイティタイプ」、新卒採用やアルバイトなど特定の採用に特化した「領域特化タイプ」、安価に抑えたい場合の「無料」の3つが主要なグループ分けになります。
それぞれの特徴や主要サービスをご紹介するので、自社にあったシステムを見極めてみてください。
オールマイティ|新卒も中途も、これで間違いない!
オールマイティ系は、新卒採用にも中途採用にも幅広く活用できます。
以下に主要のサービスをご紹介します。
・MOCHICA(モチカ)
LINEと連携しているのが特徴で、採用説明会や面接のスケジュール調整、応募者とのやり取りやフォローなどをLINEでおこなうことができます。
・HERP ATS(ハープ)
採用の担当者と現場の社員間でリアルタイムに選考の進捗を共有できます。
・GoQ採用管理
担当者が自社の採用サイトを簡単につくることができ、その情報をIndeedへ掲載します。
・ジョブカン採用管理
全ての雇用形態に対応しており、GoogleカレンダーやIndeedと連携しています。
領域特化|”バイトのみ””リファラルのみ”など領域特化型
バイトやパート専用の採用管理システムには以下があります。
・バイトルマスター
複数の求人媒体から応募がきた応募者情報を管理画面で一元管理でき、効果なども正確に把握できます。
・HITO-Manager(ヒトマネジャー)
バイトやパートの自社の採用サイトを簡単に作成できたり、入社に至らなかった人へ再度案内できる機能もあります。
・リクオプ
バイトやパートの採用管理システム(ATS)として、業界1位の導入社数を持っています
リファラルのみの採用管理システムは以下があります。
・MyRefer(マイリファー)
リファラル採用におけるシステムとしてNo.1の導入実績があり、初めてリファラル採用を実施する会社向けにコンサルティングやセミナーをおこなっています。
・Refcome(リフカム)
紹介のフローがとてもシンプルなため、社員への負担が少なく会社全体で取り組むことができます。
・HERP ATS(ハープエーティーエス)
応募や選考の状況をSlackで通知でき、10社以上の求人媒体と連携しています。
無料|コストを理由に躊躇する必要なし!
・formrun(フォームラン)
メール・Slack・Chatworkとの連携が可能で、月に100通までのメール送信やファイル添付を無料でできます。
・Zoho Recruit(ゾーホー・リクルート)
永久無料プランにて、応募者情報やメールの管理、面接のスケジュール設定ができます。
・talentio(タレンティオ)
アカウント数が無制限、求人数も無制限、応募ページの作成やタレントプール機能が使えるなど、無料プランで使える機能が多いです。
・engage(エンゲージ)
基本料金が全て無料となっており、Yahoo!とGoogleのしごと検索に対応、Indeedと連携もしています。
まとめ
「採用管理システム(ATS)」を活用することで、採用業務においてどんなメリットがあるのか、理解いただけたでしょうか?
「採用管理システム(ATS)」を導入して普段の業務を効率化し、より重要な業務へ注力することで、この採用競争が激化する時代で勝ち抜いていけるチームをつくっていけるはずです。
自社の現状の採用業務における課題を洗い出し、最適な「採用管理システム(ATS)」を見つけてみてください。