近年、世界で活躍するGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)に代表される海外の企業は、デジタル技術を使った新しいビジネスモデルをうまく定着させて収益を上げています。
一方日本企業の状況はというと、新しいビジネスモデルはなかなか定着せず、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが原因で「2025年の崖」と呼ばれる莫大な経済損失の可能性が指摘されているほどです。
それにもかかわらず、未だにその日本独自の旧時代的なシステムを打破することができず、その成長は頭打ちといえる状況です。
また少子高齢化による労働力不足が深刻さを極める中、長時間労働の是正や労働生産性の向上など働き方改革の推進も同時に進めなければならないという難しい局面を迎えています。
このような状況を打破できるのが、RPAツールの定着だと言われています。
RPAとは何か、そしてどうすれば日本の企業にRPAを定着させ、収益を上げることにつなげられるのか、本記事で解説していきます。
RPAで業務改善を試みる企業が急増中
RPAとは何か?
RPAとは、Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)を略した用語です。
従来人間が担っていた作業を、パソコンのソフトウェア型のロボットが自動化し実行することをさしており、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するためのひとつの手段といえます。
このロボットは製造業などで使われているような物理的なロボットではなく、あくまでもパソコンやサーバー上で動作しているソフトウェアをさします。
RPAの導入により業務の改善を試みる企業が、日本でも近年急増しています。
RPAにできること
RPAではデスクワーク業務の中でも、特に定型化できる内容のものに特に強みを発揮します。
バックオフィス業務の中で手順が定型化しやすい業務は、RPAの導入がしやすい分野です。
たとえば、手書きの申込書類を読み取って、アクセス権限の異なる幾つかの社内システムに転記するという作業はRPAの得意とするところです。
企業情報や顧客情報を特定のルールで抽出してリストにするような業務も、人的ミスが起きる可能性が少なく、正確に行うことができます。
簡単な内容の問い合わせメールに対して、定型化されたメールを自動返信するような作業もRPAによって可能になっており、既に利用したことがある人も多いのではないでしょうか。
RPAを導入するメリット
RPAを導入するメリットは、労働時間や人員を削減できることです。
例えばパソコンを使ってデータを転記する業務においては、RPAは人間が操作する3倍の早さで操作できると言われています。
さらに、1日8時間勤務の人間と違って休憩時間が不要なので、メンテナンス時間などを考慮しなければ、単純計算でその3倍フル稼働できます。
またロボットによる作業は人的ミスを減らすことにもつながるので人間がやるときよりもチェックの工数が少なくて済みます。
RAPを導入しその働きが定着すれば、人間が定型業務のデスクワークをする場合に対して9倍の生産性があるというわけです。
このことによってリソースに余裕ができれば、その分クリエイティブな分野など知的な作業に人員を裂き、効率的に仕事をすすめることができます。
RPAが定着しない企業が多いのはなぜ?
このように近年の働き方改革や労働力人口不足が叫ばれる状況では、RPAの導入は救世主のように思われます。
それにもかかわらず、RAPが定着しない企業が多い原因は一体どこにあるのでしょうか。
RPAの役割を理解しきれていない
RPAが定着しない1点目の原因は、RPAの役割(できること、できないこと)を理解しないまま導入してしまうことです。
たとえば、手書き文字を「認識」することや、ルール通りに転記するなど「実行」する作業は自動化しやすく、RPAができることに含まれます。
一方、RPAにできないこととして挙げられるのは、例外が多くルール通りに運ばないような「非定型」と呼ばれる業務や、問題解決のような「判断」が伴うことです。
事務作業をすべてRPAに移行できると考えてしまうと、例外を判定するような事務作業の業務改善にはつながらず、「効果がない」という誤った判断が起きてしまい、結局定着しないまま放置されてしまったり、ツールを解約してしまう危険があります。
RAPの役割はあくまでも定型化された単純作業を人間の代わりに実行するということを認識する必要があるでしょう。
RPAの運用方法・目的の周知不足
RPAが定着しない2点目の原因は、導入前にRPAの運用方法や目的を十分に社内に周知させられていない点にあります。
限られた少数の社員や役員しか理解していない状態では、RPAの運用にあたって周りからの協力が得られにくくなります。
たとえば自動化したいと思っている作業を「理解できないから」「自動化する価値が分からないから」と手作業でやってしまう人が1人でもいると、RPA導入による業務改善の効果計測の対象から外れてしまうため、全社的に価値を実感することができず、定着しません。
RPAをどのような手順で運用するのか、RPAを導入する目的がどのようなものなのか、現場にきちんと周知し、さらにその価値を理解してもらうことが定着への第一歩です。
現場と経営層との認識のズレ
RPAが定着しない3点目の原因は、実際に作業を行う現場と経営層との認識のズレです。
現場で感じている課題や改善方法、それに対するRPAの活用方法などを経営層が理解していないまま導入した結果、経営層がRPAの費用対効果を感じてくれなかったり、きちんと評価してくれなかったりという問題が出てしまいます。
逆に経営層の高い意識が先行するばかりで、現場にその思いが伝わっていないという場合でも、RPAは定着しません。
導入前に業務内容を洗い出し、どの業務を自動化できるのかを可視化して共有することは、現場と経営層の認識を合わせるのに役立つでしょう。
業務改善の規模とRPAの費用・規模感が合っていない
RPAが定着しない原因の4点目は、業務改善の規模とRPAの規模が合っていないことです。
必要以上の機能を持った費用の高いRPAを導入した場合も、逆に必要な機能を持たないRPAを導入してしまった場合でも、どちらにしてもコストパフォーマンスが合わないために定着しません。
前述したように自動化する業務内容をきちんと把握し、それが定着したときにどのくらいの工数や費用を削減できるのかを見積もって、自社の需要に適したRPAツールを選ぶようにしましょう。
RPAの定着に成功した企業が行っていたこと
ここまで、RPAが定着しない原因を4つご紹介しました。
次は反対に、RPAを定着させるためにはどのようなことをすればよいのか、定着に成功した企業が実際に行っていたことを見てみましょう。
社内勉強会・質問会を積極的に開く
1点目は、社内勉強会や質問会を積極的に開くということです。
これにより、定着しない理由の1点目に挙げた「RPAの役割をきちんと理解せずに導入してしまう」ことを防ぐことができます。
業務の洗い出しや、どの業務が自動化できるかを選択できるのは、業務内容をよく理解している現場の社員たちです。
したがって、現場の人々がRPAの役割を理解することが定着するためのポイントです。
ただ勉強会や質問会を開くためには、社内に講師のような存在を育成する必要があります。
日本の企業では、エンジニア不足が慢性化している状況です。
RPAツールは専門エンジニアでなくても導入できる工夫がされているものが多いので、社内で講師のような存在を育成できるようなサポートがあるツールを選ぶとよいでしょう。
メイン担当者以外にも必要性・運用方法を周知する
2点目は、メインの担当者以外の人にも必要性や運用方法を周知するということです。
これは定着しない理由の二つ目に挙げた「RPAの運用方法・目的の周知不足」に陥らないためです。
一つの部署だけに押し付けない
3点目は、RPAの導入の責任を一つの部署だけに押し付けないということです。
これは定着しない理由の2点目・3点目で指摘したようなことが起こると、減らしかったはずの現場の担当者の負担ばかりが増えてしまうからです。
かと言って最初から大規模な自動化を目指すと、RPAを使いこなしている実感が持てず、現場において成功体験を積み重ねられないので定着につながりません。
最初は数部署から導入するスモールスタートで、少しずつ業務の自動化を始めます。
そこから他部署の業務に応用して適用する範囲を拡大していき、そこで他部署の担当者と情報交換したり成功体験が共有できれば、導入へのモチベーションも上がりますし、1つの部署に負担がかかることを避けられます。
導入時に複数社の無料トライアルを実施する
RPA定着の成功ポイントの4点目は、導入するときに複数のRPAを無料トライアルしておくということです。
導入前に実際に試してみることで、定着しない理由の四つ目に挙げた「RPAの規模感のミスマッチ」を防ぐことができます。
自社に必要な機能を兼ね備えているのか、あるいはオーバースペックなRPAではないのかを確認するには実際に使ってみるのが一番です。
無料トライアル期間があるRPAツール
それではRPAを定着させられた企業が利用していた「無料トライアル期間のあるRPAツール」を3つご紹介します。
Robo-Pat
Robo-Pat(ロボパット)は、エンジニアの少ない日本においても「事業部門が自分で自動化できる」ことをコンセプトにして開発されたRPAツールです。
RPA導入の真の目的を「日本型DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現」とし、現場自らが業務改革して生産性を向上させることを目指しているので、Robo-Patは数あるRPAツールの中でも稀に見る非常に充実したサポート体制があるのが特徴です。
トライアル期間でできることは単にツールの操作方法を覚えるだけではありません。
実際に導入したときにすぐに効果を実感できるようなサポートを目指しています。
そのため、トライアル期間は1ヶ月で3ライセンスを、機能制限なしで無料で利用できます。
具体的には、ロボ作成者を複数人育成し、すぐに実務で使えるロボを3業務作成します。
さらに継続的に自動化業務を増やすために、10業務以上の業務を洗い出し、ロボ作成計画を立てます。
トライアル期間でも、サポートデスクへの問い合わせや勉強会への参加が自由にできます。
またオンラインサポートでは、できることから少しずつ積み重ねていくマネジメント体制が整っています。
フル活用してRPAについて詳しくなれれば、自信をもってRPAツールを選び、導入し、定着させられることでしょう。
WEB展示会ではテレワーク勤務中にあっても、Robo-PatのサービスをWEB上で学ぶことができます。
またオンライン個別相談では、個別に質問ができるので、自社独自の業務内容を自動化できるのかどうかといった相談にも応じてもらえます。
https://growth-link.net/link.php?i=pge1bn1bgdeo&m=5dad6df7af8aa【詳しくはこちら】
Robo-Pat
BizteXcobit
BizteX cobitは、「専門知識がなくても簡単に高性能ロボットが作れる」というクラウド型RPAツールです。
無料トライアル期間は1週間で、実際の業務に適しているかどうかを確かめられます。
クラウドでのサービス提供のため、機能やサービスの改善速度が速いのが特徴です。
3つのプランが用意されていますが、いずれも価格を抑えたプランとなっており、いずれのプランでもアカウント数やロボット数は無制限です。
ホームページでよく使われるロボットの作成方法が丁寧に説明されているので、初めてでも簡単にロボットを導入できるでしょう。
PINOKIO
PINOKIOは、操作画面の分かり易さを重視したデスクトップ型のRPAツールです。
無料トライアル期間は1ヶ月です。
導入前にヒアリングを行い、自動化する業務の提案をした後、1ヶ月のお試し版の無料トライアルになります。
トライアル期間中は、専任のスタッフからのフォローやサポートを受けられます。
低価格で導入できるので、小規模な企業で少しずつ業務改善をするのに特におすすめです。
まとめ
導入時から現場へRPAを定着させる方法として、定着しなかった企業の原因分析と定着した企業が行っていたこと、そして定着に欠かせない「無料トライアル」期間のあるRPAツールをご紹介しました。
単に「無料」で試せるだけではなく、その間のサポート体制も大切なことがお分かりいただけたと思います。
日本企業にとっても、RPAツールの導入などによる業務改善が必要不可欠になる未来は刻一刻と近づいてきているので、できるだけ早くツール導入後の定着を成功させられることを祈っています。