営業活動には、リスト作成・提案資料作成・商談など様々な作業があります。大きく分けると既存のリード(見込み顧客)に対するアプローチと、新たなリードを獲得するための活動の2つに分かれます。
営業活動を行う中では、商談やそれに向けた準備など、既存リードへの対応に追われがちになりますが、新規リードの獲得も重要です。しかし、そうは言っても新規リードの獲得はパワーのかかる作業であることも確かです。
今回の記事では、見込み顧客=リードとはそもそも何かという基礎から、新規リードを獲得する様々な手法の紹介、そしてリード獲得を効率的に行うために活用できるツールをご紹介します。
そもそも「リード」とは?
そもそも「リード」とは何なのでしょうか?
マーケティング業界では、リードは見込み顧客のことを指します。つまり、まだ契約(または購入・発注など)は行っていないが、今後その可能性がある顧客のことです。
もともとは英語の「Lead」に「手がかかり・きっかけ」などの意味があり、それが転用してマーケティング業界でこのように使われるようになりました。
企業の伸長には新規顧客が大事であり、そのための大事な資産としてリードをどのように拡張していくのかが重要になります。
リードからクロージングに至るまでの流れ
リードを獲得するための手法などについて紹介する前に、リードからどのようにしてクロージングに至るのか、全体像をご紹介します。
ここでは、アメリカのBtoBマーケティング&セールスのリサーチ&アドバイザリーファームであるシリウスディシジョンズが発表したフレームワーク「Demand Waterfall」をご紹介します。
このモデルは、リード獲得からクロージングに至るまでのプロセスを大きく4段階にわけます。
Inquiry
「Inquiry」は問い合わせという意味で、企業側がリードの情報を獲得するフェーズです。
手法はインバウンド、アウトバウンドの2つあります。
インバウンドでは自社のサービス・商品について顧客が興味を持ち、資料請求や問い合わせなどを行います。これにより企業側はその顧客の情報を獲得します。
一方アウトバウンドの場合は、テレアポなどで企業側から顧客にアプローチを行い、興味を持った人については情報を獲得します。
Marketing Qualification Lead
「Marketing Qualification Lead」は、リードの中でも特に見込みの高いリードを見極めるフェーズです。
リードに対して継続的にアプローチを行う中で、反応が良いなど特に購入見込みが高いと判断されるリードを選別します。
選別のプロセスは「AQL」と「TQL」の2つに分かれます。それぞれごく簡単に説明しますと、AQL(Automation Qualified Leads)ではリードの属性やWeb上での反応をもとに選別を行い、TQL(Teleprospecting Accepted Leads)では実際に電話を行い、その反応などをもとに継続的なアプローチが必要か判断を行います。
Sales Qualification Lead
「Sales Qualification Lead」は、営業が実際に顧客と商談をするフェーズです。InquiryやMQLで得られた見込みの高いリード情報を受け取り、営業担当者が商談を行い、提案などを行う段階です。
Closing
最後がこの「Closing」、つまり受注です。
このようにリード獲得からクロージングまでをフェーズで分けることにより、各段階に応じた施策の検討が可能になります。
各フェーズに合わせた施策例についてご紹介します。
リードの創出(リードジェネレーション)
まずはリードジェネレーションです。
リードジェネレーションとは見込み顧客を獲得するための施策であり、上記フレームワークでいうとInquiry以前の作業です。
具体的には、オフラインなら展示会の出展やポスティングなど、オンラインなら販促コンテンツの制作やWeb広告による集客などがあります。
このように見込み顧客がいない状況から新しく見込み顧客を生み出すことがリードジェネレーションといいます。
リードの育成(リードナーチャリング)
リードジェネレーションと一緒に語られることが多いのがリードナーチャリングです。上記フェーズでいうと、Inquiryから Marketing Qualification Leadまでの段階にあたります。
リードに対して継続的に情報提供を行い、自社により興味を持ってもらいます。その中で、特に反応の良い顧客を選別し、次のフェーズに進めます。
リードナーチャリング施策としては、具体的にはメルマガの配信や、登録者を対象にしたセミナーの実施などがあります。既に作成しているリードの情報を整理し、各リードの状況を分析した上でそれぞれの状況に合わせたアプローチを取ることが重要な視点になります。
リードの選別(リードクオリフィケーション)
最後にご紹介するのがリードクオリフィケーションです。
リードクオリフィケーションとはリードの選別のことを指し、発注確度の高い顧客を選別する作業です。この作業の良し悪しが実際の営業活動に大きな影響を与えるため、とても重要な作業です。
具体的な絞り込み方法としては、企業側からのメールの反応率、Webサイト上での行動、セミナーへの参加有無や資料請求の有無など、多くの項目をもとに判断します。このようにリードを選別することにより、発注確度が高い顧客へ優先的にアプローチすることが可能となり、営業活動の効率も向上させます。
リードの獲得方法とは?
上記のように、獲得したリードを基盤としてその後の育成や選別などがなされるため、営業活動の中でリードを獲得することは第一ステップとしてもとても重要です。
では、リードを獲得するためにはどのような方法があるのでしょうか。ここでは代表的な方法をご紹介します。リード獲得方法には大きく分けて、オフラインの手法とオンラインの手法があります。それぞれご紹介します。
オフラインでのリード獲得方法
オフラインのリード獲得としては、テレマーケティング、展示会、セミナーの開催などの方法があります。
テレマーケティングは顧客に対して直接電話をして交渉をするというものです。行動様式としてはテレアポと近いですが、目的がマーケティング資料の送付という点が違います。
また、直接顧客との接点を作る方法として、展示会への参加などがあります。展示会でブースを出店することにより特定の業界の人と名刺交換などを通して情報を収集するという方法です。この際、他の企業も同様に出展しているため自社を印象に残してもらうために印象的なブースづくりやグッズ作成が必要になります。
その他自社でセミナーを実施し、顧客候補に参加してもらうという方法もあります。
オフラインのメリット
オフラインでのリード獲得のメリットとしては、直接顧客との接点を持てるため、商談前から顧客のニーズや興味関心ごとなどの情報を得ることができ、その後のステップをスムーズに進めることが可能である点です。
また、会話の中で直接自社について説明することが可能なため、自社についての理解を深めてもらうことができ、より高い可能性で興味をもってもらえます。
しかし、逆に展示会やセミナーなどロケーションが限定されてしまうことにより、大規模にリードの獲得をすることは難しいことが難点でもあります。
オンラインでのリード獲得方法
オフラインがどちらかというと企業側から働きかけるプッシュ型のアプローチに対して、オンラインは興味を持っている顧客の方からきてもらうプル型のアプローチが主流です。
手法としては、コンテンツマーケティング、ネット広告、SNSでの情報発信などがあります。
コンテンツマーケティングは顧客が興味を持ちそうな内容の記事をウェブサイトに掲載することにより、ユーザーをホームページ上に誘導するという手法です。
ホームページに来訪したユーザーに対して、最終的には資料ダウンロードや問い合わせを促し、顧客の情報を獲得します。
ここで重要なのは検索した際に自社のサイトがしっかり上位に表示されるためのSEO対策です。しっかり上位に表示されていることにより本当に興味をもっている顧客を誘導することが可能です。
また、もっと簡易的な方法としてはネット広告があります。狙っている顧客像に合わせてターゲティングをして配信することによりピンポイントに狙っている層に対してコミュニケーションすることが可能です。
オンラインのメリット
オフラインと比較した際のオンラインのメリットは、物理的な制約がなく、一度に数多くの企業に向けてアプローチができる点です。
また、オンラインの大きな特徴としては、顧客の動きを分析し、PDCAを回せることです。コンテンツがどこまで読まれているのか、どのような広告のクリック率が高いのかなど顧客の行動を分析することにより、コンテンツの改善を進めることができ、常に最適化した方法でリード獲得をすることが可能となります。
また、オフラインと違ってプル型のアプローチが中心となるため、プッシュ型アプローチに対して温度感が高いリードが獲得可能です。
リード獲得に活用できるSaaSツール
上記のようにリード獲得の方法はオンラインもオフラインも様々な方法があります。しかしオフラインはどうしても実働する時間・手間が必要であり、オンラインも実働以外にコンテンツ作成などの準備などで手間・時間がかかってしまうという課題もあります。
リード獲得は重要ですが、実際の営業活動に時間を割くためにはなるべく効率化することも必要です。
そこで続いては、リード獲得にまつわる作業を効率化するためのツールをご紹介します。
マーケティングオートメーション
まず1点目は、マーケティングオートメーションです。マーケティングオートメーションとは言葉の通り、マーケティングを自動化するための仕組みのことです。
顧客情報の整理、分析などをプラットフォーム化する事によりいつでも誰でもが確認できるシステムです。
リード獲得に向けて活用できる機能としては、ウェブページのコンテンツ・問い合わせフォームの作成や既存ウェブサイトのアクセスログ解析などがあります。
マーケティングオートメーション自体には様々な機能があります。
そのため導入をしてみたはもののうまく活用できないという声もよく聞きます。重要なのは自社内での課題が何なのかを適切に理解してからツールを導入することです。
リスト作成・自動アプローチツール
2つ目にご紹介するツールは、リスト作成ツール/自動アプローチツールです。
従来はリード獲得のためのアプローチ先候補のリスト作成は人力で行うことが多く、大変に時間や手間がかかっていました。また、常に最新の状態にアップデートすることも難しく、実際に使用としたときには既に古い情報で役に立たないといったケースも起きがちです。
しかし、このような課題を解決するためにあるのが自動でリスト作成、アプローチしてくれるツールです。このツールは、狙っている企業情報を入力すると自動的にインターネットから企業ウェブサイトから各種情報を収集しリストを作成します。
さらに、リスト作成だけでなく、対象企業に自動的にメールや問い合わせフォームからアプローチを行うサービスも最近では出てきています。
具体的なツールとしては「GeAIne(ジーン)」や「APOLLO SALES(アポロセールス)」などがよく使われているようです。詳しく知りたい方は以下の記事もぜひご覧ください。
営業支援システム(SFA)
3点目はSFA(営業支援システム)です。
SFAとはSales Force Automationの頭文字をとった言葉です。営業活動をよりシンプルに見える化するための開発されたシステムであり、導入することで営業活動の効率化や知見の横展開など標準化することが可能です。具体的な機能としては顧客管理、営業進捗管理、売上予測やTodoリストなどを含んでいます。
マーケティングオートメーション同様に様々な機能があるために自社の課題を認識し、どのように活用したいのかをしっかり検討した上で導入することが重要です。
具体的なサービスとしては、「Kintone」「Senses」「SalesCloud」などがあります。
まとめ
営業活動においてリード獲得はすべての起点となり、リードのクオリティー次第で営業活動の善し悪しが決まると言っても過言ではありません。
リードを獲得する方法としては、オフライン/オンライン両面で様々な方法があります。どちらの手法を取る場合でも、ツールを活用して効率的に施策を回していくことが重要です。
ツールを導入する際には、しっかりと利用目的を明確にしてから導入しなければ、余計な手間が増えるだけになります。
自社がどのような現状なのか、またどのような課題があるのかを分析を行い、ツールを導入を検討してはいかがでしょうか。