「インサイドセールス」のメリット・デメリットまとめ|導入の注意点

「インサイドセールス」のメリット・デメリットまとめ|導入の注意点

「インサイドセールス」のメリット・デメリットまとめ|導入の注意点

「インサイドセールス」のメリット・デメリットまとめ|導入の注意点

働き方改革やBPR(既存のビジネスプロセスの見直し)など、今日本の企業には様々な変革が訪れています。

効率的で有効的に業績をあげているか、無駄なコストは削減できているか、社員のモチベーションは保てているか、など企業課題は尽きません。

上記の観点はひとつの職種に限ったものではありませんが、今回はその中でも「営業」という仕事にフォーカスしてご紹介させていただきます。

 

営業という仕事をイメージするとみなさんはどのようなシーンを思い浮かべますか?

スーツを着たサラリーマンが企業を渡り歩き商談を繰り返す、そんなイメージが浮かんだでしょうか。

もちろん顧客と商談・受注し、企業の売上を作るのが営業の醍醐味ではありますが、この営業という仕事のスタイルに変革が訪れようとしています。

それが「インサイドセールス」という営業スタイルです。

営業の仕事を大きく変えるインサイドセールスについて、メリット・デメリットや、導入にあたる注意点なども含め、詳しくご説明していきましょう。

 

 

インサイドセールスとは?

インサイドセールスとは、簡単に言うと「内勤」の営業です。

具体的に説明するために、営業の仕事を分解してみましょう。

【営業の仕事】
①新しい顧客を掘り起こす
②新しい顧客を見込み顧客へと育てる
③商談の機会獲得へのアプローチ
④商談
⑤クロージング
⑥アフターフォロー

大まかですがこのような流れになっています。

従来の営業では、①~⑥は1人の営業マンが対応し、1顧客1営業というスタイルが通常でした。

そして、多くの営業マンはこの①~⑥を顧客の会社を訪問して行うことが多かったのです。

例えば①であれば「飛び込み営業」、②③は「定期的な訪問営業」、④⑤は「対面商談」、⑥も「定期的な訪問営業」となります。

インサイドセールスでは、極端に言えばこの①~⑥すべての業務を顧客を訪問せずに完結させるいうことになります。

 

インサイドセールス自体はアメリカで生まれましたが、アメリカは国土が広く企業へ訪問するにも距離的難易度が高いため、多くの企業がこの①~⑥の工程を電話やメール、web会議等を使うインサイドセールスにメリットを感じ活発に採用されてきました。

そして日本でもこのスタイルをメリットと捉え、従来の訪問型の営業スタイルとインサイドセールスを組み合わせて活用する企業が増えてきているのです。

 

メリットは大きいが注意点も多い

インサイドセールスが支持されている背景には、コスト削減や業務効率化など企業におけるメリットが多いことが理由ですが、一方活用するうえではいくつかのデメリットもあります。

インサイドセールスにより大きく業績を伸ばした企業もあるため、実際にメリットも多く積極的に取り入れたいスタイルですが、上手に活用しないと思わぬ落とし穴があることも。

以下より、導入のメリットとデメリット・注意点をまとめています。

ぜひ参考にしてみてください。

 

 

インサイドセールス導入のメリット

まずはメリットについて、大きく4つご紹介しましょう。

 

営業活動の効率化

メリットの1つ目は効率化です。

日本では従来の営業スタイルとインサイドセールスを組み合わせて活用されるケースが多いとご紹介しました。

今までは1人の営業マンがすべての営業工程を担っていましたが、導入により営業工程を分業できるというメリットが生まれます。

営業業務は膨大で、営業マンによっては不得意な工程でつまずき本来パフォーマンスを発揮すべきところに時間を割けなかった、ということもあります。

それでは効率的な営業とは言えません。

インサイドセールスでは、内勤で行えるものは別のインサイドセールス部隊に引き継ぐことが可能であり、チームを分けることでその工程ごとのスペシャリストを配置するということも可能です。

それぞれの工程にスペシャリストがつくことで、以下のようなメリットも考えられます。

【分業化のメリット】
・リストを精査し確度の低い顧客へ無駄なアプローチをしない
・問い合わせやアポの日程調整で商談準備の時間が削られない
・アフターフォローのヌケモレを防ぎ商談チャンスを逃さない

このように業務を細分化できることで、業務効率化という点でも多くのメリットがあるのです。

 

営業可能範囲の拡大

メリットの2つ目は営業範囲を拡大できることです。

インサイドセールスを行うことで、1顧客に対して多くのチームが関わることになります。

そのため、1人の営業マンだけではカバーしきれなかった範囲にもアプローチを拡大できるというメリットがあります。

例えば潜在顧客を育成するフェーズでは、営業マン単体でいくつもの企業とコンスタントにコミュニケーションを取り続けるのは限界があります。

しかし専門のインサイドセールス部隊があれば、リストアップされた企業に対して対個人ではなく対チームでアプローチができるため、より多くの商談機会につなげられるというメリットがあるのです。

またアフターフォローのフェーズにおいても同様です。

新規開拓や商談をこなしながら既存顧客のアフターフォローをしつつ、そこからさらに売り伸ばしの機会を探る、ということを営業1人でこなすのは難易度が高いでしょう。

ここでもアフターフォローのインサイドセールス部隊を作ることで、顧客満足度も上がり売り伸ばしの機会も増えるという企業メリットが生まれるのです。

 

移動費の削減

メリットの3つ目は経費、主に移動費の削減です。

従来の営業活動では事あるごとに顧客の会社を訪問していましたが、それにかかる移動時間は営業マンに大きな負荷となっていました。

電車の中でPCを開く営業マンも見かけますが、作業効率は圧倒的に悪いでしょう。

そして移動には交通費がかかりますし、業務中の移動時間は労働時間に含まれるため、そこには人件費もかかっていることになります。

何も生み出さないただの移動時間に経費をかけるのは非常にもったいないですよね。

インサイドセールスなら、移動費を大きく削減できるというメリットもあります。

 

営業ノウハウが共有され、改善される

メリットの4つ目はノウハウの活用です。

営業業務の課題のひとつに「ノウハウが属人化される」というものがありました。

営業が力を発揮するのは常に顧客の会社の中であり、例えば日々のコミュニケーションやクロージング方法なども、誰がどのように行っているのかを共有されることはなく、それぞれが思うままに営業活動を行っていました。

それでは企業や人材の成長には繋がりません。

インサイドセールスでは、この「商談」というフェーズもweb会議ツール等を使い自社内で行うことができるため、例えばトップセールスマンの商談を新人が横で見て勉強する、後輩の商談には教育担当が同席し、都度アドバイスをする、などノウハウが共有できるというメリットがあります。

また専用のツールを使えば、web会議システム上にトークスクリプトを搭載したり、ワンポイントアドバイスなどが画面上で共有されたりと、オンタイムで営業スキルが共有できるというメリットもあるのです。

 

 

インサイドセールス導入のデメリット・注意点

さて、これまで多くのメリットをご紹介してきましたが、インサイドセールスにはデメリットや注意点もあります。

 

これまでの対面営業ノウハウが活かせず、成績が落ちるおそれ

対面と非対面では細かいニュアンスの伝わり方や、場の作り方・進め方も変わります。

そのため、従来どおりのコミュニケーションを続けてもうまくいかないといった注意点も想定されます

例えば従来の営業スタイルでは、営業マンは顧客の表情や声のトーン、その場の状況など様々な情報を元に、顧客が話に乗りやすいよう雑談を交えながら雰囲気作りをしていきます。

そこには長年培ってきた勘なども働いているのでしょう。

それがweb会議になると少し勝手が変わってきます。

画面を通しての商談の場合、声の張り方や表情の作り方、身振り手振りなども今までと同じとはいきません。

そのため、培ってきたノウハウが活かせずに、成績を落としてしまう営業マンもいます。

インサイドセールスに対応するには、それ相応のスキルを身につける必要があり、それの習得時間が必要だというのは注意点のひとつです。

 

導入に向けて様々な準備が必要

インサイドセールスを行うためにはチーム編成や業務フロー、必要なシステムやツールを配備するなど環境を整えねばなりません

インサイドセールスはチームで行うことが主流なため、この環境がしっかり整備されていないと業績悪化につながったり、顧客からのクレームとなったりする可能性もあります。

自社の営業ではどのように活用すべきか、必要なツールはなにか、顧客へのリレーションは問題ないか、など細かな確認が必要です。

導入を決めた直後から万全の体制で運用できるわけではない、という点はデメリットのひとつと言えるでしょう。

 

営業ノウハウの共有がうまくいかない場合もある

インサイドセールスを導入するということは、今までの営業ノウハウをすべて捨てるということではありません。

細分化したインサイドセールス部隊の専門スキルに加え、これまで営業マンが培ってきたノウハウをそれぞれの部隊に浸透させることで、最大限のパフォーマンスを目指せるというのがメリットです。

しかし、今まで属人的だった営業スキルを型化して転用する、ということは意外と難易度の高いことでもあります。

そのため、思ったようにノウハウが共有されず、インサイドセールス部隊のスキルが既存の営業スタイル時代に及ばないことで、結果業績を落としてしまったというパターンもあります。

また、1顧客1営業マンというスタイルを、1顧客複数人のチームというスタイルに変えることで、情報の漏れや重複などが発生しクレームにつながるということもあります。

 

 

インサイドセールス成功のために必要なこととは

インサイドセールスのメリット・デメリットをご紹介しましたが、ではトラブルなく導入するためには何が必要なのでしょうか?

 

チームの連携・役割分担を細かく決定しておく

インサイドセールスには、無駄のない業務分掌と正確な情報伝達が必要不可欠です。

情報伝達が漏れることや重複することは、業務の効率を悪くするだけでなく、顧客からの信頼も失ってしまいます。

そのためには、企業を訪問する営業とインサイドセールス部隊がどのように役割分担をし、どのように情報を共有し合うのかを精緻に設計する必要があります。

例えば、
・新規顧客を開拓するインサイドセールス部隊はアポイントの日程調整まで行う
・アポイントを取れたリストはインサイドセールス部隊がA~Eでランク付けを行う
・テレアポ時の顧客の反応や所感はメモで共有する
・情報共有はメールではなく共有ツールを使用する
など、いつ・どこで・誰が・どのように情報を操作するのかを明確化しておきましょう

 

インサイドセールスのメリットを最大限に活かすためには、いかにチーム全体で情報をスムーズに伝達できるかがポイントとなってきます。

 

他部門と連携し、新しい営業フローを社内で構築

インサイドセールスを導入するということは、今まで分断されていた企業内の各部門が連携して業務を遂行する必要があります。

そのため、営業部門だけで話を進めることは得策とは言えません。

例えば自社にマーケティング部門・営業部門・顧客管理部門があったとして、今まではそれぞれが独自に情報を管理し業務を行っていた場合には、各部門に営業と情報を連携するための仕組みを作りに行く必要があります

また業務の手段を各部署に任せるのではなく、営業が培ったナレッジを取り入れてもらったり、各部署からのアドバイスを集約したりしながら新しいフローを構築することがポイントです。

インサイドセールスは、ただやれば良いということではありません。

効果を出すのであれば、しっかりと業務設計をしたうえで活用することをおすすめします。

 

 

まとめ

インサイドセールスの導入にあたるメリット・デメリットを紹介してきました。

インサイドセールスを取り入れることで、今まで貫いてきた営業スタイルや、顧客へのアプローチやリレーションの形は大きく変わることになります。

それをメリットと捉えるか、デメリットと捉えるかはもはや企業次第なのです。

人材確保が難しい時代で、今まで以上に企業は変革を求められています。

そして、今回ご紹介したインサイドセールスというスタイルは、営業マンの膨大な移動時間というデメリットや営業スキルとはかけ離れた業務を分業することで無駄を排除し、その時間を効果的な提案活動に転換するという企業にとっては大きなメリットとなる変革です。

成功させるためにはそれ相応の業務設計が必要になりますが、それに見合うリターンはあるはずです。

メリット・デメリットをしっかり理解して、それぞれの企業にあった適切な形でインサイドセールスを導入し、企業の力となるようぜひ活用してみてください。

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