企業の売上をアップさせていく上でマーケティング活動は必要不可欠ですが、マーケティングを強化すればするほど煩雑な業務に対応する従業員の手間も増えていってしまいます。
手間が増えるということは、マーケティング業務にかける時間も増えていくということです。
もちろんそれらの業務はビジネスをおこなっていく上で大切な業務の一つであり、おろそかかにはできません。マーケティング業務にかける手間や時間を省くことができるのであれば、ぜひそうしたいと思いませんか?
そういったマーケティング業務における悩みを解決してくれるのが、今回紹介するマーケティングオートメーションです。
この記事では、企業のマーケティング活動にかかる手間や時間をどうにかして短縮したいと考えている方やマーケティングオートメーションに興味はあるもののイマイチよくわかっていないという方のために、マーケティングオートメーションについて詳しく紹介していきます。
マーケティングオートメーションの概要についてはもちろん、マーケティングオートメーションを活用することでできることや、その効果についても詳しく紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
マーケティングオートメーションとは?
まずは、マーケティングオートメーションとは何か?について詳しく解説していきます。
マーケティングオートメーションをビジネスに活用していくには、マーケティングオートメーションについて正しく理解することが必要不可欠です。
マーケティングオートメーションについて全く知らない方はもちろん、マーケティングオートメーションのことをなんとなく知っているという方も、ここでしっかりと理解を深めていきましょう。
マーケティングオートメーションの定義
マーケティングオートメーションについて理解するために、その定義についてまず確かめておきましょう。
日本国内でもマーケティングオートメーションツールやそれに付随するサービスを展開しているSalesforce(セールスフォース)社は、マーケティングオートメーションとはデジタルマーケティングにおける煩雑な業務を自動化するための仕組みやツールだと定義しています。
若干の違いはあれど、その他の企業が提唱しているマーケティングオートメーションの定義も似たようなものになります。
マスメディアを使った大規模なマーケティングは大勢のユーザーにアプローチできる一方で、反響などの詳細なデータを取ることができません。
一方、ウェブサイトやSNSなどを使ったデジタルマーケティングでは、サイト解析ツールなどを使用することで細かな情報を拾い、それをもとにより効果的な施策につなげることが可能です。
しかし、細かいことができるということは、反面、マーケティング活動に関わる業務が膨大で煩雑になり、担当者にとって大きな負荷となってしまうのも事実です。
そういった、マーケティングにおける膨大で煩雑な業務をオートメーション(自動化)するのが、マーケティングオートメーションというわけです。
マーケティングオートメーションが使われる背景
企業のマーケティング活動における煩雑な業務を自動化することで、マーケティングにかかる手間や時間を大幅に削減することができるマーケティングオートメーションですが、そもそもなぜマーケティングを自動化しようという動きが拡大していったのでしょうか?
ここでは、マーケティングオートメーションが使われるようになっていった背景についてみていきたいと思います。
インターネットの普及による顧客行動の変化
マーケティングオートメーションが使われるようになった背景には、インターネットの普及が大きく関係しています。
マスメディアを使ったマーケティングが主流だった一昔前までは、顧客が自ら欲しい情報を集めるというのは、簡単なことではありませんでした。そのため、顧客は販売側が伝える情報を信頼するしかいないという側面が強かったわけです。
しかし、インターネットが普及した現代では、顧客が自分自身で容易に情報を集められるようになりました。これにより企業はデジタルマーケティングに力を入れる必要が出てくるわけですが、デジタルマーケティングでは分析する必要のある情報が多く、一人ひとりの顧客への段階的なアプローチが必要になるため、人の手で行うにはかなりの手間と時間がかかります。
その問題を解決することを目的として、マーケティングオートメーションが使われるようになっていきました。
マーケティング手法の変革が求められた
インターネットやデジタルツールの普及で顧客の行動が大きく変化した、と解説しましたが、顧客の行動が変わると、当然マーケティングをおこなう側の企業の手法も顧客に合わせて変化していく必要が出てきます。
これまでの企業がおこなうマーケティング活動や営業活動と言えば、マスメディアを使ったものや飛び込みでの営業、テレアポといったアナログな手法がほとんどでした。
しかし、これらのマーケティングや営業手法は、顧客が自ら情報を集めることができる現代において有効だとは言えません。むしろかなり効率が悪いと言っていいでしょう。
そのため、企業はこういったアナログなマーケティング手法からデジタルマーケティングへと移行する必要が出てくるわけですが、前述した通りデジタルマーケティングは手間と時間がかかるため、マーケティングオートメーションが導入されるようになってきたわけです。
One to Oneマーケティングの必要性が高まる
顧客の行動が変化したことやアナログなマーケティング手法の重要性が低くなり、デジタルマーケティングが主流になってきたことで、より一人ひとりの顧客に合わせたマーケティングが求められる時代になってきました。
つまり、One to Oneマーケティングの必要性が高まってきたということです。
One to Oneマーケティングはその名のとおり、顧客一人ひとりに合わせたマーケティングを行っていく手法ですが、顧客一人ひとりに合わせてマーケティング活動をおこなっていくということは、それだけ手間と時間がかかるマーケティング手法でもあるということになります。
そのため、簡素な作業を自動化することができるマーケティングオートメーションの必要性が高まってきたわけです。
マーケティングオートメーションの効果とは
年々その重要性が高まってきているマーケティングオートメーションですが、実際にマーケティングオートメーションを導入した場合、どのような効果が得られるのでしょうか?
主要なものをいくつかまとめました。
効果が表れるポイント
マーケティングオートメーションによって効果が表れる主なポイントは以下の3つです。
商談数・商談率
マーケティングオートメーションを取り入れることで得られる効果の一つ目は、商談数の増加や商談率のアップです。
これまで主流だったマスメディアでのマーケティング活動は、リーチできる人数こそ多いものの、一人ひとりの顧客に最適化されたものではありませんでした。
そのため、リーチする人数に対して商談にいたる人数はそれほど多くなく、商談率も高くありませんでした。
一方、マーケティングオートメーションは、顧客一人ひとりにアプローチできるのはもちろん、一人ひとりのニーズに最適化した形でアプローチすることができます。
「一人ひとりに最適化したアプローチ」の一例としては、自社サイトの中でどのページを長く見ていたかに合わせて、商談へ誘導するようなメールの送信内容や、商談における不安払拭のトークを変える、などがあります。
そのため、商談数や商談率を高めることができるようになるわけです。
客単価
マーケティングオートメーションの活用方法の一つに、リードナーチャリングというものがあります。
これを日本語で表現すると「見込み客の育成」になるわけですが、マーケティングオートメーションを導入することで、この見込み客の育成が可能になります。
顧客の段階に合わせて最適化されたコンテンツを配信することによって顧客を育成し、購買意欲を高めることができるようなるわけです。
顧客を育成することで得られる主なメリットとしては、商談数の増加があげられます。しかし、メリットはそれだけではありません。
リードナーチャリングをすることで客単価をあげることもできるようになります。
ある統計情報では、リードナーチャリングを活用した結果、客単価が47%アップしたというデータも出ています。
客単価が上がるということは、売上のアップにも寄与することとなります。
作業コスト
マーケティングオートメーションを導入することで得られる効果、3つ目は作業コストの削減です。
これからのビジネスにおいてデジタルマーケティングへの取り組みは必要不可欠だと解説してきましたが、デジタルマーケティングには煩雑な業務がつきものです。
これを全て手動でおこなおうとすると大きなコストがかかります。
一方、マーケティングオートメーションを導入すると、これらの煩雑な業務を自動化することできるので、コストを大幅に削減することできるようになります。
また、マーケティングオートメーションによって顧客一人ひとりのニーズをしっかりと分析することで営業の精度も上がるため、営業活動にかかるコストも削減することができるようになります。
マーケティングの効果を可視化できることもポイント
マーケティングオートメーションではデジタルマーケティングを自動化していくと解説してきましたが、デジタルマーケティングの良いところは顧客のニーズや行動を可視化できるところにあります。
マーケティングオートメーションは、解析ツールなどと同様、ユーザーのサイト上の行動などといった細かなデータを取って分析することが可能で、顧客のニーズや行動の可視化に役立てることが出来ます。
これらのデータはビジネスをおこなっていく上で非常に重要なものです。
また、可視化することで分析もおこないやすくなり、実施した施策の効果も具体的に把握することが可能です。
効果があるかどうかが曖昧なままではマーケティングの精度を上げていくことはできません。マーケティングの効果を可視化できるというのも、マーケティングオートメーションの大きな効果の一つと言えるでしょう。
マーケティングオートメーションでできることとは?
最後に、マーケティングオートメーションでできること、マーケティングオートメーションがもつ機能に詳しくついてみていきましょう。
顧客が成約するまでのマーケティングを自動化
マーケティングオートメーションの主な機能は、自社の製品の購入やサービスの契約といった成約を獲得するまでのマーケティング活動の自動化です。
ただ、ひとくちに顧客が成約するまでのマーケティング活動と言っても、いくつかの段階があります。マーケティングオートメーションを導入することで、それぞれの段階でのマーケティング活動を自動化することができるようになります。
ここでは段階別に主な機能を確認していきましょう。
リード獲得
マーケティングの最初の段階にあたるのが、このリードの獲得です。
自社の製品を購入してくれそうな見込み客や、自社のサービスを契約してくれそうな見込み客を獲得する段階ですね。
マーケティングオートメーションツールでは、このリード獲得の入口となるウェブページを制作し、見込み客との接点の一つとして設けることができます。
LPO機能が使える場合もあり、ABテストを重ねてCVR(コンバージョン率)の高いサイトに仕上げていくことが可能です。
さらに、問い合わせのための「フォーム」を作成し、最適化する機能も存在ます。
これらをリード獲得に活かすことが可能です。
リードの育成
マーケティングオートメーションが最も効果を発揮してくれるのがこの段階です。
先ほど紹介した、マーケティングの入り口であるリード獲得の部分では、見込み客はまだ商品を購入したりサービスを契約するような段階には至っていません。
商品やサービスに興味こそ持ってはいますが、まだそこまで必要性を感じていないわけです。
そこで必要になってくるのが見込み客の育成です。
マーケティングオートメーションでは、それぞれの見込み客の段階に合わせてあらかじめ作成しておいたコンテンツを最適なタイミングで配信(主にメールでの案内送信)することが容易にできるようになります。
適切なコンテンツを適切なタイミングで発信してあげることで見込み客は育成され、より商品やサービスの必要性を感じるようになるわけです。
また、メールは単発の送信だけでなく、「ステップメール」と呼ばれるような定期的・複数件の配信も制御することが出来ます。
リードの絞り込み
リードの育成ではそれぞれの見込み客の段階に合ったコンテンツを配信していくと解説しましたが、それをおこなうためには見込み客を分類しなくてはいけません。
そしてマーケティングオートメーションツールでは、その分類作業も簡単におこなうことができます。
ツールによって機能が異なるため一概には言えませんが、ほとんどのマーケティングオートメーションツールには、閲覧履歴などを活用して分類するセグメントの機能と、見込み客の購買意欲などを数値化するリードスコアリングの機能が備わっています。
まとめ
これからの企業がおこなうマーケティング活動において必須となるであろう、マーケティングオートメーションについて詳しく紹介してきました。
今回紹介してきたように、マーケティングオートメーションツールを導入することで得られる効果は絶大です。
実際に、マーケティングオートメーションが盛んな海外はもちろん日本でもマーケティングオートメーションを取り入れている企業が業績を伸ばすことに成功しています。
これまでおこなってきた手法を変えることには多少抵抗が出てきてしまうかと思いますが、ぜひ今一度マーケティングオートメーションの導入を検討してみてはいかがでしょうか?