クレジットカードやQRなど、キャッシュレス決済を導入する店舗は増加傾向にあります。経済産業省が2021年1~3月にかけて実施した実態調査アンケートによると、回答した1189件の事業者のうち、72%が導入していると答えました。業種によって異なるものの、キャッシュレス決済を未導入の店舗は少なくなっています。
今後のビジネスにおいて、キャッシュレス決済は導入が必須と言っても過言ではありません。まだ導入していない方は、前向きに検討してはいかがでしょうか。
この記事では、キャッシュレス決済の種類や導入するメリットについて解説しています。記事後半では、キャッシュレス決済できる端末・サービスの比較も行っています。導入する際の参考にしてください。
参考:キャッシュレス決済実態調査アンケートを行いました。(METI/経済産業省)(https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210618002/20210618002.html)
キャッシュレス決済に必要な端末とは?
キャッシュレス決済の導入には端末が必要ですが、日本ではCAT端末が普及しています。CAT端末は、クレジットカード決済に使用する端末です。しかし、電子マネーやQRコードなど、他の決済方法には対応していません。今後導入するのであれば、クレジットカード以外にも対応した「マルチ決済端末」が最適でしょう。
マルチ決済端末とは?
マルチ決済端末は、複数の決済方法を導入できる端末を言います。一つの端末でクレジットカードだけではなく、電子マネーやQRコード決済も対応可能です。従来とは異なり、決済方法ごとに端末を使い分ける必要がありません。
マルチ決済端末は、決済ごとに端末を購入する手間も省けるため、導入コストを削減できます。操作する端末も減りますので、レジオペレーションの簡略化も可能です。
キャッシュレス決済の端末は多数ありますが、今後導入するのであれば、マルチ決済端末の検討をおすすめします。
キャッシュレス決済端末によって対応できる決済方法とは?
キャッシュレス決済端末では、以下の3つの決済手段を導入できます。
・クレジットカード・デビットカード
・QRコード決済
・電子マネー決済
いずれも飲食業・小売業には必要不可欠な決済手段です。
クレジットカード・デビットカード
クレジットカードやデビットカード決済は、日本でポピュラーなキャッシュレス決済手段となっています。ユーザーの根強いニーズもあるため、クレジットカード決済の対応は必須と言えるでしょう。
クレジットカード・デビットカードに対応することで、顧客の利便性が向上します。クレジットカードに対応していない競合との差別化も可能になるでしょう。
QRコード決済
QRコード決済は、スマートフォンの画面に表示されたQRコードを読み取り、決済を行う手段です。ユーザーはスマートフォンにアプリを導入すれば利用できるため、普及が進んでいます。店舗側は、QRコードを読み取るのみで決済可能なため、レジオペレーションの負担も軽減できます。
クレジットカード不要のサービスもあるため、クレジットカードを持たない(持てない)ユーザーにも対応可能です。決済手数料も低いため、コストを抑えたい店舗であれば、メインの決済手段に最適です。
電子マネー決済
電子マネー決済は、カードやスマートフォンを読み取り機へかざし、支払いを行うキャッシュレス決済手段です。SuicaやICOCAなど交通系や、WAON・nanacoのような流通系など、非常に多くの決済事業者があります。
電子マネー決済は、事前にチャージを行うプリペイド式と、後日引き落としされるポストペイ式の2種類に分けられます。一般的なのものはプリペイド式で、Suicaや楽天Edyなど、多くの電子マネーが採用しています。
キャッシュレス決済に対応するメリットとは?
この章では、キャッシュレス決済を導入するメリットについて解説します。店舗にさまざまな恩恵をもたらすため、前向きに導入を検討してはいかがでしょうか。
会計業務の効率化と混雑緩和
キャッシュレス決済を導入すると、会計業務の効率化や混雑の緩和が期待できます。現金のやり取りがなくなるため、スムーズに会計を行うことが可能です。会計時間が短くなることから、レジで列ができたり、混雑したりすることも減るでしょう。
顧客の利便性増加
現金以外の支払い手段が増えるため、顧客の利便性向上にも貢献します。例えば普段はQRコードで決済している顧客がいる場合、QRコード決済を導入しておくことで、機会ロスを防止できます。支払いの選択肢が多いと、顧客の多様なニーズに対応可能です。支払い手段の多さを全面に出せば、新たな顧客の獲得にもつながるでしょう。
釣り銭の受け渡しミスの防止
釣り銭の受け渡しミスを防げることも利点と言えます。現金払いの場合、釣り銭の受け渡しミスを完全に防ぐことはできません。過不足が生じたときは、売上記録やレシートを確認したり、帳簿の修正をしたりする必要があります。
キャッシュレス決済は、現金のやり取りが発生しません。売上の過不足が生じることがないため、帳簿修正などの手間を省けます。
キャッシュレス決済端末の種類
キャッシュレス決済用の端末は、主に3つの種類があります。自店舗に適したものを導入しましょう。
主にレジ横に設置する【据え置き型】
据え置き型は、レジの横に設置するタイプの端末です。小売店や飲食店で多く導入されています。
据え置き型は、レジと端末を直接接続し、使用するのが特徴です。そのため、本体の移動は困難な反面、操作が簡単で機能性に優れています。カスタマイズ性も高いことから、独自の機能を搭載したい場合にもおすすめです。
持ち運びができる【ポータブル型】
ポータブル型は、インターネット回線を介して接続するタイプの端末です。無線での接続が可能で、インターネット回線があればどこでも利用できます。店舗だけではなく、店外や移動販売など、幅広い場面で使用可能です。移動販売店はもちろん、テーブル会計を導入している店舗に適しています。
ポータブル型は、プリンターと一体化した端末もあります。レシートをその場で印字できるため、スピーディーな会計業務が可能になります。
導入費用が抑えられる【スマホ・タブレット型】
スマホ・タブレット型は、スマートフォンなどの端末とカード読み取り機を接続するタイプです。導入コストが安く、店外でも使用できます。他の端末と比べ、導入までの時間もかかりません。レシートの印字をするためには、別途プリンターも導入する必要があります。
スマホ・タブレット型は、導入コストを抑えたい店舗や、売上規模の小さな店舗に適しています。持ち運びもできるため、移動販売・テーブル会計にも向いているでしょう。
キャッシュレス決済端末の選び方とは?
キャッシュレス決済端末を導入する際は、自店舗に最適なものを選択しなくてはいけません。この章では、キャッシュレス決済端末の選び方について解説します。
店舗での使い方にあった種類
キャッシュレス決済端末の種類はさまざまありますが、店舗での使い方に合わせた種類を選びましょう。例えば、テーブル会計が可能な店舗の場合、据え置き型の端末は適していません。レジとテーブルを往復する羽目になり、レジオペレーションの効率が下がります。ポータブル型か、スマホ・タブレット型が候補に入るでしょう。
端末を選ぶ際は、現在の会計方法に合わせることが重要です。キャッシュレス決済を導入後、どのような使い方をしたいか、明確にするのもよいでしょう。
顧客のニーズに合ったキャッシュレス決済に対応する
顧客のニーズを満たすことも必要です。一口にキャッシュレス決済と言っても、クレジットカードやQRなど複数の方法があります。導入するときは、顧客のニーズに則したキャッシュレス決済に対応しましょう。
例えばクレジットカードを希望する顧客が多い場合、カードへの対応は必須と言えます。若年層が多い店舗であれば、QRコード決済の導入も検討の余地があります。
的はずれな決済方法を選ぶと利用者が増えず、コストが重荷となってしまいます。自店舗の客層やニーズを分析し、最適な方法を選ぶことが重要です。
おすすめキャッシュレス決済端末&サービス
キャッシュレス決済端末・サービス事業者は多数ありますが、この章では、おすすめのサービスを3社ご紹介します。
以下に決済方法や機能を比較しています。導入を検討中の方は参考にしてください。
サービス名 | STORES 決済 | Square(スクエア) | Air PAY(エアペイ) |
対応した決済方法 | ・クレジットカード
・ICカード ・QRコード |
・クレジットカード
・ICカード ・QRコード |
・クレジットカード
・ICカード ・QRコード |
主な機能 | ・売上管理
・スタッフ管理 ・POS・会計ソフト連携 ・取引明細のCSV出力 ・オンライン決済ページ作成機能 |
・売上管理
・スタッフ管理 ・顧客管理 ・在庫管理 ・ギフトカード |
・売上管理
・取引明細のCSV出力 ・利用控えのメール送信 |
端末の種類 | ・ポータブル型
・スマホ・タブレット型 |
・据え置き型
・ポータブル型 ・スマホ・タブレット型 |
・スマホ・タブレット型 |
STORES 決済
STORES 決済は、初期費用・月額料金無料で利用できるキャッシュレス決済サービスです。発生するコストは決済手数料のみのため、初期費用を抑えたい方に適しています。端末はポータブル型とスマホ・タブレット型の2種類から選べます。
機能も豊富です。STORES 決済は、売上やスタッフ管理が可能なほか、POSレジや会計ソフトとの連携に対応しています。オンライン決済のページを作成すれば、顧客は店舗へ足を運ばずに決済が可能です。オンライン決済ページ作成機能は、予約ページとの連携もできます。ウェブからの予約を受け付けている店舗の場合、利便性向上につながります。
Square(スクエア)
Square(スクエア)は、豊富な端末を提供しているキャッシュレス決済サービスです。据え置き型の端末も選べるため、小売店から医療機関まで、さまざまな業種に適しています。ただし、導入時は端末の購入代金が必要です。
Square(スクエア)は機能性も優れています。売上やスタッフ管理のほか、顧客管理も可能です。ギフトカードの発行にも対応しており、店舗独自のギフトカードを導入できます。顧客の知人や家族にカードを配ってもらうことで、新規顧客の開拓も可能です。
Air PAY(エアペイ)
Air PAY(エアペイ)は、多数の電子マネーやQRコード決済事業者に対応したサービスです。端末はスマホ・タブレット型のみですが、多くの決済事業者に対応させることができます。移動販売店はもちろん、顧客の利便性を向上させたい方に向いています。
Air PAY(エアペイ)の導入には、iPadかiPhoneが必要になります。月額料金は無料で、導入後は決済手数料のみかかります。入金回数も多いため、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮が可能です。
まとめ
キャッシュレス決済を導入する店舗は増加しており、今後も普及が進むでしょう。反対に言えば、未導入の店舗は顧客が離れ、競合店に差を付けられる可能性があります。顧客の利便性を高め、競合店との差別化を図るためにも、キャッシュレス決済の導入は必要不可欠です。まだ導入していない方は、前向きに検討してはいかがでしょうか。